豊岡演劇祭2020 感染症対策の基本方針・ ガイドライン(9月7日更新)

お礼の言葉

豊岡演劇祭実行委員会 会長 豊岡市長 中貝宗治
9月22日、2週間にわたる豊岡演劇祭が閉幕しました。
プログラム公演に2,767人、フリンジ公演に1,963人、延べ合計4,730人の方にご来場いただきました。各公演とも、座席を50%以下にした上でのことですが、ほぼ満席でした。
ご来場いただいた皆様、参加いただいた劇団の方々、応援をいただいた地域の皆様、そして、身内のことで大変恐縮ですが、駐車場の整理から検温、受付、誘導等、舞台裏を支えていただいたスタッフ、ボランティアの皆様に、心からの感謝を申し上げます。
皆さんの力と心が一つになって、豊岡演劇祭が形を取り、躍動しました。

私自身は、期間中、実行委員会会長としての役目はほとんど果たさず、ひたすら演劇、ダンス、パフォーマンス、インスタレーションを見て、豊かさを増した豊岡の暮らしを楽しみました。

 今回、「小さな世界都市―Local & Global City―」を実現するエンジンとしての豊岡演劇祭の可能性が、はっきりと見えてきました。

 旅のしおり、AIを活用したオンデマンド交通の試み、超小型電気自動車コムスの導入などの実験によって、「疎」の非効率を最新のテクノロジーでカバーしつつ、人々が多様性を受け入れ、フラットにつながる「スマートコミュニティ」実現の可能性も見えてきました。

様々な制約を余儀なくされる中で、それでも豊岡で演劇祭の旗を立てたことは、現在の日本のアートシーンにおいて、当初の想定以上の意義を持つことになったのではないかと思います。
カーテンコールで、役者の皆さんが示すちょっとした仕草の中に、コロナ禍で舞台に立てたことの喜びと感謝の気持ちが感じられて、胸が熱くなることもありました。

平田オリザさんの「銀河鉄道の夜」のエンディング近くで、ジョバンニがこんなことを語る場面があります。
「宇宙はどんどん広がっていく。だから、人間はいつも一人だ」
本質的な孤独についての表現なのだろうと思います。
しかし、私たちは、この演劇祭を通じて多くの人々とつながり、豊岡は一人ではないことを実感しました。

やって良かった。やれて良かった。そう思います。
 重ねて、ご参加、ご支援いただいた方々に、心からの感謝を捧げます。
来年、またお会いしましょう。豊岡でお待ちしています。

「豊岡演劇祭2020」終了のごあいさつ9月23日

 まず、何よりも、二週間にわたる豊岡演劇祭が、大きな事故もなく終えられたことを観客の皆様、参加上演団体、関係スタッフ、豊岡市役所、そして豊岡市の市民の皆様に心よりお礼申し上げます。
 第一回の開催という点に加え、新型コロナウイルス感染症という未曾有の事態に直面し、私たちはすべての局面において、前例のない判断を迫られました。一つひとつの判断のすべてが正しかったとは毛頭思えず、また、何を持って「正しい」とするのかさえもわからない状況ですが、後世に向けて、「他策なかりしを信ぜむと欲す」と言えるだけの慎重さと責任を持って、ここまで演劇祭を遂行してまいりました。

 新型コロナウイルスの感染については、今後二週間、さらに注意をして経過を見守る必要があり予断を許しませんが、ここまでのところ、演劇祭関係者からの発症はありません。また観客の皆さまからの発症の報告もございません。
 関係各位のご努力、ご協力に、あらためて感謝いたします。

 細かい分析はこれからになりますが、今回はやはり、地元の皆様、そして関西圏からのご来場が多かったようです。ご来場できなかった遠方の演劇ファンの皆様からも、「来年は是非行きたい」という声を多く寄せていただいています。状況を見ながらになりますが、来年度以降、本来の国際演劇祭としての役割を少しずつ取り戻していきたいと考えています。
 客席を50%に制限したこともあり、ほとんどの公演が早々に売り切れとなりました。お客様にはご不便をおかけしました。スタッフ確保や契約の関係から、追加公演などもほとんど実施できませんでした。来年度以降の反省として生かしていきたいと考えています。
 一方で、「キャンセル待ちで並んだけど駄目だったので、その時間は温泉に入りました」といったお話も伺いました。豊岡で演劇祭を行う強みは十分に発揮できたのではないかと思っています。

 人気演目のキャンセル待ちを狙うか、確実に観られるフリンジを観るか、空いた時間に観光をしたり地元のグルメを楽しむか、これを悩むのがリゾート型のフェスティバルの楽しみであり、このような「演劇祭文化」を日本に定着させていくのが豊岡演劇祭の使命です。
 日本で初めての本格的なリゾート型、回遊型の演劇祭として、来年度以降も地域の観光業界、産業界と密接に連携をしながら企画運営を進めてまいります。

 フェスティバルディレクターとしての何よりの誇りは、来場者や参加アーティストの皆さんから、「豊岡の方々に温かく迎えてもらった」という声を多くいただいたことです。ご協力いただいた豊岡市民の皆さんには、あらためて感謝申し上げます。

 コロナ禍で閉塞感漂う日本演劇界にとって、豊岡は希望の灯火となりました。
 表現の場を失い、いまも多くの制約を受けている若い舞台芸術関係者にとって、発信の空間を提供できたことは、演劇祭の大きな責務を果たせたものと考えています。
 今後も芸術の一極集中に風穴を開け、文化の多様性を確保するためにも、豊岡演劇祭はさらなる飛躍を遂げたいと考えます。

 順調にいけば、来年度には、豊岡の地に観光とアートを中心とした県立の専門職大学が開設されます(認可申請中)。小中学校での演劇教育も、さらに広がりを見せています。
 芸術と行政、教育、産業が連関した世界でも類を見ない壮大な社会実験の核として、豊岡演劇祭を、これからも着実に発展させていきたいと願っています。

 ありがとうございました。


豊岡演劇祭2020フェスティバルディレクター  平田オリザ